みなさん、こんにちは。今回は単相2線式、単相3線式の電圧降下、電力損失について解説します。
みなさんが学校で習う理科や物理での電気の計算や、または以前学習した理論では電線自体には抵抗もなく、その結果電圧降下や電力損失は無いものとして考えます。しかし、実際のケーブルや電線には、そのもの自体に小さいながらも、抵抗があり、その結果、電圧降下や電力損失が発生します。
計算問題としても、また、実際の仕事でも重要な内容となります。できるだけ分かりやすく解説しますので、ついてきてください。
単相2線式における電圧降下と電力損失
図12-1のような回路で考えます。イメージとしてはコンセント回路などが該当します。電源電圧Vsは送り元という意味で、送る(英語でsend)の頭文字を取ってsが付いています。また、負荷電圧Vrは受け側という意味で、受ける(英語でreceive)の頭文字を取ってrが付いています。

電線の多くは銅でできています。この電線には小さいですが、抵抗があります。電線の太さが同じであれば、距離が大きくなると抵抗は大きくなり、距離が短くなると抵抗も小さくなります。
さてここで、電源電圧Vsと負荷電圧Vrの間には差が生じます。なぜ2つの電圧に差が発生するのでしょうか?それは電流が流れることによって、電線の電圧降下が発生する分だけ電圧が小さくなるからです。電線1本の抵抗をr、負荷に流れる電流をIとした場合、式で書くと次のようになります。
※ただし、ここでは負荷を抵抗のみ(力率1)とし、電線のリアクタンスは抵抗に比べて小さく、影響も小さいため無視することとします。
電線1本当たりの電圧降下はIrで2本あるからその2倍の電圧降下があるということです。そして、その電線の電圧降下は電源電圧と負荷電圧の差に等しくなります。
次に電線の電力損失について考えてみます。電線1本の抵抗rによって生じる電力損失はI2・r [W]になります。電線は2本ですから、全体の電力損失Plは次のようになります。
さて、ここで発生する電力損失の実態はどのようなものでしょうか。それは抵抗で発生する熱になります。つまり、電力損失が大きいと電線が熱を持つようになるのです。(なお、この熱のことをジュール熱といいます。)
単相3線式における電圧降下と電力損失
図12-2のような回路で考えます。負荷1と負荷2の大きさが等しく、それぞれかかる電圧は同じでVrになるとします。この時、中性線に流れる電流INは0[A]となります。

図では各電圧線と中性線の間の電源電圧をVsとしています。この時、電源電圧Vsと負荷電圧Vrについて考えてみます。負荷1、負荷2に流れる電流は合流して、INになりますが、電流値は0[A]なので、中性線の電線では電圧降下は発生しません。そのため、電圧降下は電線1本分だけになります。負荷1側であれば、電流I1による電圧降下、負荷2側であれば電流I2による電圧降下だけが発生するということです。式で書くと次のようになります。
※単相3線式でも、単相2線式と同じ前提(負荷は抵抗のみ、電線のリアクタンスは無視)で考えます。
ここで、I1とI2の大きさ(実効値)が等しいので、その大きさをIとします。(I=I1=I2)
また、電力損失も同じように考えて、次のようになります。
なお、今回は「負荷1と負荷2の大きさが等しく、それぞれかかる電圧は同じでVrになる」としましたが、このような状態を負荷が平衡しているといいます。また、単相3線式は、各負荷にかかる電圧(負荷電圧)が同じで、同じ電力を送る場合、単相2線式に比べて電流が半分になり、電力損失も小さくなるという利点があります。合わせて覚えておいてください。
まとめ
今回は、電線による電圧降下と電力損失について解説しました。いずれも試験や実務で重要な内容となっております。よく考え方を理解したうえで式を覚えるようにしてください。どの内容にも言えることですが、ただ式を覚えるだけですと覚えも悪いし、何より応用が効かなくなります。考え方を理解するところに力を入れて、学習を進めるようにしてください。
この記事を最後まで読んでくださいましてありがとうございました。それではまた、次回お会いしましょう。

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