交流回路について解説してきましたが、最後に力率改善について解説したいと思います。交流回路では電圧と電流の位相が大なり小なりずれていることがほとんどです。このずれが小さいときはあまり問題ないのですが、大きくなるにつれて、効率的に電気が使えなくなります。
誘導性リアクタンスが大きい負荷があるときに位相差が大きくなるのですが、その場合、例えば機械を動かしている電気以上に電力を消費することになり、電気代にも大きく影響してきます。
今回は電力について考えていく中で、力率改善について考えていきたいと思います。
力率改善とは 〜単相交流回路で考える〜
まずは、単相交流回路で考えてみたいと思います。理論⑦でも出てきた図10-1のような回路を考えてみたいと思います。

このときの回路の消費電力Pは次の式になります。
この式を書き換えると、
となります。ここで、例えば、負荷につながっているのがモーターだとします。(実際にモーターは抵抗と誘導性リアクタンスからなります。)
電圧V=100[V]、モーターを動かすのに500[W]の電力が必要だったとします。この時、必要となる電流は何アンペアでしょうか。
θ=0°のとき 電流I=500/(100・cos0°)=500/(100・1)=5[A]
θ=30°のとき 電流I=500/(100・cos30°)=500/(100・)=5.77[A]
θ=60°のとき 電流I=500/(100・cos60°)=500/(100・)=10[A]
つまり、位相θが変化して、力率cosθが小さくなる(位相のずれが大きくなる)と、モーターを動かすために必要となる電流が大きくなるのです。実務で言うならば、電気の使用量が増え電気代が高くなるということになります。
そこで、この力率を改善する必要が出てくるのです。これが力率改善の目的です。
単相負荷における力率改善
図10-2のような回路を考えてみます。位相の遅れがθの負荷に、コンデンサを並列に接続した回路です。負荷の中身は先ほどの図10-1の回路と思って下さい。

次にこのベクトル図を描いてみます。負荷とコンデンサにかかる電圧なので、電源電圧Vlを基準にしてベクトル図を書きます。

電流Iは図10-1の電流と同じなので、位相差θで遅れ位相になります。電流ICは進み位相ですので、2つの電流のベクトルを足し合わせると図10-3のIlのようになり、位相差はθからθ0へと改善されたことが分かります。これが、力率改善の仕組みです。
三相交流回路について
三相交流回路の負荷についても、同じように力率改善を行うことができます。図10-4に三相交流回路にて力率改善を行う際の回路を示します。なお、三相交流回路の力率改善については、少し難しい内容となり、また、第二種電気工事士試験のウェイトとしても大きなものではありませんので、ここでは省略させていただきます。今はこんなものもあるのだということだけを覚えておいていただければ結構です。

電力量について
電力量(W[Wh])については、今までの記事の中で示してきましたが、改めておさらいしておきます。
この式のVlは線間電圧(単相交流回路では電源電圧)、Ilは線電流(単相交流回路では負荷に流れる電流)、cosθはその時点での力率、tは時間を示します。 力率改善を行うことにより、電力量を抑えることができ、電気の有効活用を行うことができます。つまるところ、力率改善をするのはこのように電力量を抑えるためであるということを覚えておいて下さい。
まとめ
今回は力率改善について、解説を行いました。前回の三相交流回路と同様、少し難しい内容となっています。第二種電気工事士試験合格ということを考えれば、あまり力を入れなくてもいいところです。理解が難しいようであれば、読み流して頂いて構いません。
ただし、実務では非常に重要な内容になりますので、どこか頭の片隅にいれて、また仕事などで携わったときに思い出し、その時に詳しく勉強していただければいいと思います。資格は取ったら終わりではなく、取ってからも学習していくくらいに思っていただいたほうがいいです。
今回も最後まで読んでくださいましてありがとうございました。また、次回お会いしましょう。

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