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配電理論と設計⑤|過電流遮断器の種類と規格

今回は過電流遮断器の種類と規格について、解説したいと思います。特に規格については第二種電気工事士試験に出るだけではなく、実務でも重要な内容となっていますので、よく理解するようにしましょう。

目次

過電流遮断器とは

過電流遮断器とは、回路に過電流や短絡電流が流れた場合、回路の電線や機械器具を保護するために、電流を遮断する器具のことを言います。まずは種類から見ていきたいと思います。

過電流遮断器の種類

過電流遮断器の種類にはヒューズと配線用遮断器があります。
ヒューズは回路の途中に入れ、定格を大きく超える電流が流れると、熱が発生しヒューズが溶断することにより回路から電流を遮断するものです。
配線用遮断器は、みなさんがよく目にするブレーカーです。ブレーカーが落ちる(トリップすると言います)ことにより、ヒューズと同じく回路から電流を遮断します。 過電流遮断器のイメージは図15-1のようになります。

ヒューズと配線用遮断器の規格

ヒューズや配線用遮断器にはどれくらいの電流が流れると何分で動作し、電流を遮断するという規格があります。この規格に則って動作することにより、回路に流れる電流を遮断し、過電流などによる電線や電気機器の損傷を保護しています。

ヒューズの適合条件

1.定格電流の1.1倍の電流に耐えること。

2.表15-1の定格電流の区分に応じ、同表の右欄に掲げる時間内に溶断すること。

配線用遮断器の適合条件

1.定格電流の1倍の電流で自動的に動作しないこと。

2.表15-2の定格電流の区分に応じ、同表の右欄に掲げる時間内に自動的に動作すること。

過電流遮断器の適合条件の見かた

配線用遮断器の適合条件の見かたについて、具体的に解説したいと思います。

例えば、市販の配線用遮断器(ブレーカー)の場合で考えてみます。住宅用であれば、15A、20A、30Aなどが多いので、例として20Aのブレーカーの場合で見てみましょう。

表15-2を見ると定格電流は30A以下ですので、次のような動作をします。

・定格電流の1倍、つまり20Aの電流が流れても動作しない。
・定格電流の1.25倍、つまり25Aの電流が流れると60分以内に動作する。
・定格電流の2倍、つまり40Aの電流が流れると2分以内に動作する。

単相3線式における注意

単相3線式の回路では、中性線にヒューズを入れてはいけません。(解釈上は、中性線への過電流遮断器の施設が原則として禁止されていますが、ここでは試験で問われるヒューズに限定して考えます。)

仮にヒューズを入れてしまった場合を考えてみます。もし中性線のヒューズだけが溶断して切れてしまうと図15-2のように200Vの回路に負荷が接続された回路が形成され、負荷の大きさが異なる場合は、容量が小さい負荷(抵抗値が大きい)の方に大きな電圧が発生し、負荷が機器などの場合、焼損する可能性があります。

例えば、図15-2のように、100Wと250Wの負荷が回路に接続されていたとします。中性線にヒューズが付いていて、それが溶断した場合、それぞれにかかる電圧はいくつになるでしょうか。計算してみましょう。

負荷1、負荷2ともに抵抗負荷とし、その抵抗値をR1 、R2とします。

負荷1はもともと負荷電圧100[V]で負荷容量100[W]とすると、

負荷に流れる電流は 負荷電流=負荷容量負荷電圧=100[W]100[V]=1[A]負荷に流れる電流は 負荷電流=\frac{負荷容量}{負荷電圧}=\frac{100\text{[W]}}{100\text{[V]}}=1\text{[A]}

また、負荷抵抗R1は R1=負荷電圧負荷電流=100[V]1[A]=100[Ω]また、負荷抵抗R_1は R_1=\frac{負荷電圧}{負荷電流}=\frac{100\text{[V]}}{1\text{[A]}}=100\text{[Ω]}

同じように負荷2の負荷抵抗R2を求めると、負荷電圧100[V]で容量250[W]であるから

負荷電流=負荷容量負荷電圧=250[W]100[V]=2.5[A]負荷電流=\frac{負荷容量}{負荷電圧}=\frac{250\text{[W]}}{100\text{[V]}}=2.5\text{[A]}

また、負荷抵抗R2は R2=負荷電圧負荷電流=100[V]2.5[A]=40[Ω]また、負荷抵抗R_2は R_2=\frac{負荷電圧}{負荷電流}=\frac{100\text{[V]}}{2.5\text{[A]}}=40\text{[Ω]}

よって、ヒューズが切れた時、回路に流れる電流Iは

I=200[V](100[Ω]+40[Ω])≒1.43[A]I=\frac{200\text{[V]}}{(\,100\text{[Ω]}+40\text{[Ω]}\,)}≒1.43[A]

よって、

負荷1の両端に現れる電圧は 1.43×100[Ω] ≒143[V]

負荷2の両端に現れる電圧は 1.43×40[Ω] ≒57[V]

となります。負荷1にかかる電圧が定格電圧100[V]を大きく超えてしまう結果になりました。

まとめ

今回は、過電流遮断器について解説しました。解説でヒューズと配線用遮断器について解説しましたが、実務では配線用遮断器を使うことが圧倒的に多いです。ただし、試験ではヒューズも出ますし、古い電気設備ではまだ、ヒューズが使われていることもあるので、しっかり覚えるようにしたいところです。

また、表15-1、表15-2の適合条件は第二種電気工事士試験で問われそうな部分だけを記載しました。実際には、ヒューズでは60Aを超える電流、また遮断器では50Aを超える電流についても規格はあるのですが、第二種電気工事士試験では、これだけでも覚えて試験に臨んでください。

なお、この規格は「電気設備の技術基準の解釈」の第33条にさらに詳しく載っています。根拠となる規則なので一度軽く見ておくといいかと思います。

電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)(経済産業省HPより)

今回も最後まで記事を読んでくださいましてありがとうございました。それではまた、次回お会いしましょう。

※本記事は学習用の解説です。実際の工事・施工は有資格者が最新の法令・規格に基づいて行ってください。

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この記事を書いた人

電気の仕事に20年近く携わるエンジニア。第3種電気主任技術者・第二種電気工事士などの資格を保有しています。電気をシンプルにわかりやすく伝えることがモットーです。
名前の「すえきち」は、おみくじの末吉から。「これから良くなりますように」という願いを込めて、電気を勉強中の方に寄り添える解説を目指しています。

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