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理論⑨ 三相交流回路

今回は三相交流電源からはじめて、三相交流回路全般について、解説したいと思います。

先ずは三相交流電源について解説します。今までの記事では、直流電源と単相交流電源を解説しました。三相交流電源は、モーターなどの動力、つまり回転する機械を動かすときによく使う電源です。

身近なところで言うと、エアコンの室外機や換気扇、ポンプの電源として使われます。家庭用の機械だと単相電源を使うことが多いですが、企業などで使っている、比較的大型の業務用の機械では三相交流電源を使うことが多いです。 それでは、一緒に勉強していきましょう。

目次

三相交流電源とは

図9-1のような電源を考えます。電源からは3本の配線が出ています。この配線の先は、負荷につながっているのですが、先ずは電源について考えてみます。この電源は、それぞれが単相電源で、位相が120°ずつずれている電源になります。 電圧va、vb、vcの瞬時値をグラフで表すと図9-2のような波形になります。

このように、3つの電源の波形のピークが120°ずつずれていることにより、負荷(機械など)を動かす時、効果的に力を出して動かすことができるようになるのです。

なお、図9-1ではVa、Vb、Vcと3種類の電圧が書かれていますが、実際にはこの電圧は同じ値になります。例えば、「電圧の大きさが220[V]で3つの電圧の位相が120°ずれている」というような電源を実務では扱うことになります。

負荷の結線方法① 〜Y結線について〜

Y結線と書いて「スター結線」と読みます。星型に結線した回路のことをいいます。図9-3に負荷のY結線を示します。星型に結線しているというのが分かりますでしょうか。

図9-3で負荷は3つとも同じ値です。図で負荷の真ん中に中性点Oと書かれていますが、ここの電圧は0[V]になります。詳細な説明は省きますが、イメージとしては位相が異なる3つの電圧が合流して、打ち消し合ってゼロになるといったイメージです。

また、上の図でVlを線間電圧、Vを相電圧といいます。線間電圧については、基本的に同じ大きさなので今回は全て同じ記号Vlと書きました。相電圧とはここで言うと1つの相、つまりRとXの組一つにかかる電圧と考えて下さい。 電流についても電線上を流れる電流を線電流、負荷に流れ込む電流を相電流といいます。この場合、線電流と相電流は同じになります。

さて、それぞれの電圧、電流の関係について式で表してみます。

Vl=3V [V] (式9−1)( 線間電圧=3相電圧 )V_l=\sqrt{3}V [V] (式9-1)( 線間電圧=\sqrt{3}相電圧 )

または、 V=Vl3 [V] (式9−2)または、 V=\frac{V_l}{\sqrt{3}} [V] (式9-2)

Il=I [A] (式9−3) ( 線電流=相電流 )I_l=I [A] (式9-3) ( 線電流=相電流 )

電力 P=3VlIlcosθ=3I2R (式9−4)電力 P=\sqrt{3}V_lI_lcosθ=3I^2R (式9-4)

電力量 W=Pt=3VlIlcosθ・t=3I2R・t (式9−5)電力量 W=Pt=\sqrt{3}V_lI_lcosθ・t=3I^2R・t (式9-5)

式の導き方については、少し難しい数学の計算が必要となってきますので、ここでは省略したいと思います。

ポイントは2つです。

① 線間電圧=√3×相電圧

② 線電流 = 相電流

この2つはY結線の特徴です。①は線間電圧の方が相電圧より大きくなるのは図からイメージできると思います。また②についても線電流と相電流が同じであるのは一目瞭然です。図と一緒にしっかり覚えて下さい。

負荷の結線方法② 〜Δ結線について〜

Δ結線と書いて「デルタ結線」と読みます。三角形に結線した回路のことをいいます。図9-4に負荷のΔ結線を示します。三角形に結線しているというのが分かりますでしょうか。

さて、この負荷について同じように見ていきます。電圧について、今度は線間電圧=相電圧となっています。Y結線のときと同じように、それぞれの電圧、電流の関係について式で表してみます。

Vl=V [V] (式9−6) ( 線間電圧=相電圧 )V_l=V [V] (式9-6) ( 線間電圧=相電圧 )

Il=3I [A] (式9−7) ( 線電流=3相電流 )I_l=\sqrt{3}I [A] (式9-7) ( 線電流=\sqrt{3}相電流 )

または、 I=Il3 [A] (式9−8)または、 I=\frac{I_l}{\sqrt{3}} [A] (式9-8)

電力 P=3VlIlcosθ=3I2R (式9−9)電力 P=\sqrt{3}V_lI_lcosθ=3I^2R (式9-9)

電力量 W=Pt=3VlIlcosθ・t=3I2R・t (式9−10)電力量 W=Pt=\sqrt{3}V_lI_lcosθ・t=3I^2R・t (式9-10)

式の導き方については、少し難しい数学の計算が必要となってきますので、ここでも省略したいと思います。

ポイントは2つです。

① 線間電圧=相電圧

② 線電流 =√3×相電流

この2つはΔ結線の特徴です。①は図から一目瞭然かと思います。②については線電流の方が相電流より大きくなるのは図からイメージできると思います。図の点Aで電流Ilがふた手に分かれ、その一方が相電流Iになると考えるとイメージしやすいと思います。ここでも図と一緒にしっかり覚えて下さい。

また、(式9-9)は(式9-4)、(式9-5)は(式9-10)と同じになります。これは三相負荷の特徴です。

まとめ

今回の三相交流回路の話は少し難しいかと思います。イメージだけでも掴むようにしましょう。三相交流負荷については、線間電圧と相電圧、線電流と相電流の関係をイメージと一緒に覚えてみて下さい。

また、Y結線、Δ結線ともに電力と電力量は同じ式で表されます。(式9-4)または(式9-9)、(式9-5)または(式9-10)は実務でもよく使うので覚えておきたいところです。

さて、ここまで書かせていただきましたが、もし今回の記事が少し難しいと感じたならば、第二種電気工事士の試験に合格するという点から考えると、この三相回路は力を入れて勉強する必要はないと思います。戦略的には他に時間をかけて得点を狙うほうが効率的です。ただし、先ほども言いましたが実務ではとても大事な内容となっていますので、理解はするようにして下さい。

今回の記事は長くなってしまいましたが、最後まで読んで下さいましてありがとうございました。それではまた、次回お会いしましょう。

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この記事を書いた人

電気の仕事に20年近く携わるエンジニア。第3種電気主任技術者・第二種電気工事士などの資格を保有しています。電気をシンプルにわかりやすく伝えることがモットーです。
名前の「すえきち」は、おみくじの末吉から。「これから良くなりますように」という願いを込めて、電気を勉強中の方に寄り添える解説を目指しています。

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