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配電理論と設計⑥|低圧幹線の設計のしかた

今回は低圧幹線の設計のしかたを解説します。まず、幹線とは何かから説明します。

工場や大きな建物を想像してみてください。電力会社から受電した電気は、まず電気室(受電室)の配電盤に入ります。ここには、電気の入口となる親ブレーカーがあります。一方、実際に機械を動かす生産現場には、電動機や電熱器につながる子ブレーカーがまとめられた動力盤や分電盤があります。この盤は、電気室から離れた場所にあるのが普通です。この親ブレーカーから、離れた場所にある子ブレーカーまで電気を送る太い線を「幹線」と言います。そして、子ブレーカーから各機器(電動機や電熱器など)につながる線を「分岐回路」と言います。
幹線の先で分岐して各機器へ電気を送るときは、分岐した線ごとに子ブレーカー(過電流遮断器)を設置するのが原則です。これを図に示すと、図16-1のようになります。

この記事では、幹線の許容電流の求め方と、幹線を保護するブレーカー(過電流遮断器)の定格電流の求め方を解説します。

目次

幹線の許容電流

まずは、幹線の許容電流について考えてみます。許容電流について考える際、負荷を電動機とそれ以外の電気機器で分ける必要があります。先ほどの図16-1で考えてみたいと思います。

幹線から各負荷(電動機1、電動機2、電熱器1、電熱器2)へと電気を供給するため、幹線を分岐します。図16-1では、左端のB(定格電流IB)が親ブレーカー、各負荷の手前のBが子ブレーカーです。

さて、幹線の許容電流を求めるわけですが、ここで電動機の定格電流の合計とその他の電気機器の定格電流の合計を分けて計算する必要があります。

電動機の定格電流の合計をIMとすると    IM=IM1+IM2 [A]

その他機器の定格電流の合計をIHとすると  IH=IH1+IH2 [A]

この時、許容電流はIMとIHの大小により、次のように設定します。

1.IM≦IH の場合

全ての電気機器の定格電流の合計値以上の値を幹線の許容電流とし、幹線に使用する電線を選定します。幹線の許容電流を式にすると次のようになります。

IW≧IM+IH [A]  (式16-1)

2.IM>IH の場合

電動機の定格電流の合計が、他の電気機器の定格電流の合計より大きい場合は、次のように許容電流を定め、幹線に使用する電線を選定します。

2-1.IMが50A以下の場合(IM≦50のとき)

IW≧1.25IM+IH [A]  (式16-2)

2-2.IMが50Aより大きい場合(IM>50のとき)

IW≧1.1IM+IH [A]  (式16-3)

以上をまとめると図16-2のようになります。

幹線を保護する過電流遮断器の選定

次に幹線を保護する過電流遮断器(ブレーカー)の選定方法について解説したいと思います。選定にあたってはブレーカーの容量(電流値)を計算する必要があります。ブレーカーの容量は次の方法で計算します。

1.IB≦3 IM+IH よりIBの上限値を計算する。
2.IB≦2.5 IW  よりIBの上限値を計算する。
3.1、2で求めた上限値の小さい方を採用する。

ひとつ計算してみたいと思います。図16-3の場合について考えてみます。

まずは幹線の許容電流IWを求めます。

IM=IM1+IM2=4+8=12A
IH=IH1+IH2=2+3=5A

IM>IHかつIM≦50より幹線の許容電流は
1.25IM+IH=1.25×12+5=20A  IW≧20A

次にブレーカーの定格電流を選定するための計算をします。

3IM+IH=3×12+5=41A  IB≦41A … ①
2.5IW=2.5×※20=50A  IB≦50A … ②  ※IWの最小値は20Aです。

ブレーカーの定格電流は、①と②を比較して小さい方の①を採用します。
41A以下のブレーカーを選ぶのですが、市販のブレーカーから選ぶと定格電流(AT=アンペアトリップ)が40Aのブレーカーを選定することになります。

計算の結果、幹線の許容電流の最小値(20A)より、選定したブレーカーの定格電流(40A)の方が大きくなりました。電動機は起動時に大きな電流が流れるため、ブレーカーは幹線の許容電流より大きな値を選びます。起動時の一瞬の大きな電流でブレーカーが落ちないためと思ってください。

分岐側の過電流遮断器を省略できる条件

幹線から細い線を分岐する際に、原則として、分岐線に子ブレーカー(過電流遮断器)を設置しますが、以下の場合には省略できます。図16-4と合わせて解説します。

条件① IWb≧0.55IBの場合
条件② 分岐線の長さが8m以下で、IWb≧0.35IBの場合
条件③ 分岐線の長さが3m以下
ただし、IB:太い幹線用過電流遮断器の定格電流 IWb:細い分岐線の許容電流

条件①は分岐線の太さのみの制限と見ることができます。条件②は分岐線の長さと太さの制限と見ることができます。そして、条件③は分岐線の長さのみの制限と見ることができます。

まとめ

今回は、幹線の許容電流の求め方と、幹線を保護するブレーカー(過電流遮断器)の定格電流の求め方について解説しました。実務でも必要となる知識なので、しっかりと覚えるようにしてください。

また、太い幹線から細い幹線を分岐する際に、分岐側の過電流遮断器を省略できる条件も、第二種電気工事士試験に出題されることがある内容です。ぜひ押さえておいてください。

なお、過電流遮断器にはヒューズなどもありますが、この記事では最も一般的なブレーカー(配線用遮断器)で説明しました。

今回の記事はここまでになります。最後までご覧いただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

電気の仕事に20年近く携わるエンジニア。第3種電気主任技術者・第二種電気工事士などの資格を保有しています。電気をシンプルにわかりやすく伝えることがモットーです。
名前の「すえきち」は、おみくじの末吉から。「これから良くなりますように」という願いを込めて、電気を勉強中の方に寄り添える解説を目指しています。

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